香典の渡し方・参列辞退への対応・後日弔問のやり方・
お悔やみの伝え方まで、家族葬のすべてのシーンを解説
家族葬は、家族・親族・ごく親しい友人など限られた人数(20名以下が多い)で行う小規模な葬儀形式です。2010年代以降に急増し、現在では国内葬儀の約4割を占めるといわれています。参列者を絞ることで、故人や遺族の意向を反映した落ち着いた雰囲気の式にできるのが特徴です。
家族葬は通夜・告別式を行う点では一般葬と同じですが、参列者を家族・親族に限定します。密葬は後日「お別れの会」を別途行うことが前提の葬儀形式。直葬(火葬式)は通夜・告別式を省略し、火葬のみを行う最もシンプルな形式です。費用は直葬<家族葬<一般葬の順で高くなります。
高齢化による独居・核家族化、コロナ禍での人数制限が定着したこと、「簡素に送り出したい」という価値観の変化が主な要因です。また費用を抑えられること(家族葬の平均費用は80〜150万円程度、一般葬は150〜300万円程度)も普及した理由のひとつです。
訃報状や案内に「香典・供花・弔電はご辞退申し上げます」とある場合は、喪家の意向を尊重するのが基本です。香典を無理に渡すのは、受け取った側に香典返しの手間をかけることになり、かえって失礼になる場合があります。お悔やみの言葉を電話・手紙で伝えるだけで十分です。
香典辞退の記載がない場合や、参列を求められた場合は通常通り香典を持参します。金額の相場は一般葬と同じく続柄・年代で決めます。香典袋は「御霊前」(四十九日前)または「御仏前」(四十九日以降・浄土真宗)と書き、薄墨の筆ペンを使います。
香典辞退を受けてもどうしても気持ちを表したい場合は、四十九日後に後日弔問または現金書留で送ることができます。その際の表書きは「御霊前」より「御花料」「御線香料」のほうが負担感が少なく受け取りやすいです。金額は5,000〜10,000円程度で、お返し不要の旨を添え状に書き添えると親切です。
同僚や部下が家族葬を行った場合、職場からの香典・供花をどうするかは上司・総務と相談します。「香典辞退」の場合は職場からも控えるのが原則ですが、弔慰金(福利厚生上の弔意)は会社の規程に基づき支給することが多いです。取引先の場合も同様に、家族葬での香典・供花辞退の場合は対応を控えます。
参列を求められた場合は一般葬と同様のマナーで臨みます。服装は喪服が基本(男性:黒スーツ・白シャツ・黒ネクタイ、女性:黒のワンピース・スーツ)。受付での挨拶「このたびはご愁傷様でございます」は簡潔に。焼香の作法も同じです。
「家族のみで執り行います」と言われた場合は参列を控えます。訃報を受けたことを無断で他人に広めるのもNGです。お悔やみは電話・メール・弔電などで伝えます。葬儀への弔電は「御辞退」とない限り送ることができます。
後日弔問する場合は、必ず事前に電話で連絡・了解を得てから訪問します。時期は四十九日が明けてから(忌明け後)が望ましいです。服装は喪服でなく、地味な平服(黒・濃紺・グレー)で構いません。仏壇・祭壇にお線香をあげ、短時間(15〜30分程度)で切り上げるのがマナーです。手土産は不要ですが、故人が好きだったお菓子などの供物を持参してもよいでしょう。
電話は葬儀当日を避け、翌日以降の落ち着いた時間帯(10〜17時頃)にかけます。「このたびは突然のことで、誠に残念でございます。心よりお悔やみ申し上げます」と短く伝え、長話は避けます。遺族が疲弊している時期でもあるため、用件だけを手短に。
メール・LINEでのお悔やみは略式ですが、遠方の場合や深夜・早朝の緊急連絡後など状況によっては適切です。「〇〇様のご逝去に接し、心よりお悔やみ申し上げます。どうぞご自愛ください」のように簡潔に。重ね言葉(重ね重ね・たびたび・いよいよ等)と、「帰る・消える・切れる」などの忌み言葉は使いません。
家族葬でも弔電辞退の記載がなければ送ることができます。告別式の開始時間(多くは13〜14時)より前に届くよう、訃報を受けた当日〜翌日午前中に手配します。NTT(115)やインターネット電報サービスから申し込めます。文例はこのサイトの弔電ジェネレーターで即作成できます。
手紙は最も丁寧な方法の一つです。「前略」「拝啓」などの頭語は省略し、「突然の悲報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます」から始めます。故人との思い出を一言添えると遺族に喜ばれます。忌み言葉・重ね言葉に注意し、縦書きで薄墨を使うとより丁寧です。
家族葬であっても忌引き休暇は通常通り取得できます。忌引き日数は会社の規程によりますが、配偶者は5〜7日、父母は5〜7日、祖父母は2〜3日が一般的です。続柄別の日数はこのサイトの忌引き休暇チェッカーで確認できます。
家族葬でも四十九日・百箇日・一周忌などの法要は通常通り行います。法要の日程は命日から自動計算できます。お布施の相場は四十九日で3万〜5万円が目安です(宗派・地域差あり)。
家族葬を行った遺族は11〜12月に喪中はがきを送ります。「家族葬のため近親者のみで執り行いました」と一文添えると、訃報が遅かった相手への丁寧な説明になります。喪中はがき文例ジェネレーターで続柄・スタイル別の文例をすぐ作成できます。
基本的にはNGです。家族葬は参列者を限定することに意味があります。「近所だから」「会社の同僚だから」という理由で無断で参列すると、喪家に香典返しの手間など負担をかけることになります。訃報を知った場合はお悔やみの言葉を電話・弔電で伝えるにとどめましょう。
「知っている人に知らせたい」という善意であっても、喪家の了解を得ずに訃報を広めるのは控えるべきです。家族葬はプライバシーを守る意味も含んでいます。告別式が終わった後(四十九日明け以降)に事実として話すのは構いません。
参列を求められていない場合は参列を控えます。職場として何かしたい場合は、会社の規程に基づく弔慰金や、「御花料」「御線香代」などの小額の香典を後日個別に(辞退されていなければ)渡す形が適切です。上司に相談して職場の対応を統一することをお勧めします。
参列する場合は受付で渡します。後日弔問の場合は訪問時に仏前に供えます。郵送する場合は現金書留で送り、添え状に「御線香代として」など用途を明記します。四十九日の前後で表書きが変わります(四十九日前:御霊前、以降:御仏前)。浄土真宗は時期を問わず御仏前です。